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第50話 榊家の古参使用人②

Penulis: 花柳響
last update Tanggal publikasi: 2026-06-29 06:01:49

 相良さんは淡々と言った。

 皮肉なのか、自嘲なのか。分かりにくい。

「朝霧様には、こちらの一覧をご覧いただき、気づいた点をお知らせいただきたい」

「礼法じゃなく?」

「礼法は、昨日の晩餐会で十分拝見しました」

「十分、ですか。褒め言葉に聞こえないのは、私の心が狭いからでしょうか」

「少なくとも、相手の無礼につられて食器を投げる方ではない、とは判断しました」

 褒められた気はしなかった。

 私は椅子に腰を下ろし、画面へ向き直る。タッチパッドの表面は、使い込まれて一瞬だけ光っていた。こういう場所のパソコンは、たいてい誰かが何年も我慢しながら使っている。

 一覧を日付順に並べ替える。

 次に、請求番号で並べる。

 同じ番号が二つあった。

 片方は花材、片方はリネン。業者名は違う。けれど、請求番号の付け方が同じだった。偶然もある。けれど、納品日の翌日に承認がある行と、納品日の前日に承認済みになっている行が混ざっている。

 私は黙って、列幅を広げた。
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